区分マンション投資とアパート投資の特徴
皆さんは、不動産投資のセミナーにご参加されたことはありますでしょうか?
私の経験上、区分マンション投資会社のセミナーに行けば、「アパート投資は空室リスクが大きすぎる」「単価が大きすぎる」と言われ、アパート投資会社のセミナーに行けば、「一度区分を買ってしまうと、区分から抜けられない」「区分は大きく化けないため投資妙味がない」と言われます。これらは正しいですが、改めて区分マンション投資とアパート投資の特徴を整理してみました。
比較項目 区分マンション投資 アパート投資
物件価格 ◎ 物件の取得価格が低い(1,000万円~3,000万円) × 物件の取得価格が高い(5,000万円~1億円前後)
利回り × 利回りが低い(都内・新築3%~5%) ◎ 利回りが高い(都内・新築5%~7%)
賃料以外の収入 × なし ○ あり(自動販売機の収益など)
立地 ◎ 都心の駅徒歩10分以内など好立地 × 郊外や地方の物件が多い
空室リスク ◎ 好立地であれば非常に低い × マンションに比べると空室リスク高い
融資審査 ◎ 融資額が少ないため、審査が通りやすい × 融資額が多いため、審査が比較的厳しい
取得費用 ◎ 数十万円~百万円程度 × 数百万円~一千万円程度
修繕費用 ○ 修繕費用の規模が少ない × 修繕費用の規模が大きい
費用計上 × コストコントロールが難しい ○ コストコントロールが可能
賃料下落 ◎ 都心であれば下落スピードは緩やか × マンションに比べて賃料下落が大きい
建物の裁量 × 管理組合で決定する ◎ 自分で意思決定できる
償却期間 × 一度の減価償却額が少ない ○ 一度の減価償却額が大きい
物件の流動性 ◎ 流動性が高い(売りやすい) × 流動性が低い(売りにくい)
出口戦略 × 出口戦略は売却がほとんど ◎ 出口戦略が複数ある
区分マンション投資のメリット・デメリット
メリット
手軽に始められる
区分マンション投資は、アパート等に比べると手軽に始めることができます。金額ロットも小さいものであれば、数百万円から始められます。また建物が既にゼネコンや不動産会社などによって建築されていることが多く、自ら設計等に関与する必要はありません。
流動性の高さ(空室リスクの低さ・賃料の安定性)
マンションとアパートはその性質上、マンションはより都心の駅近に所在することが多いです。従いまして、マンションは空室が埋まりやすく、賃料が安定的という特徴があります。また、物件の売却を希望する際にも買い手が比較的見つかりやすいです。
特にここ数年は、アベノミクスから始まり、各国の金融緩和によるコロナバブルで区分マンションの需要が旺盛であり、不動産が売れやすい環境にあります。
デメリット
収益性が出にくい
上記のメリットの裏返しですが、区分マンションは収益性がさほど高くなく、化けにくいというデメリットもあります。都心の駅徒歩10分以内の新築マンションだと、利回り3%後半~5%弱と低くなってしまうことが多いです。
創意工夫がしづらい
建物変更や管理に関する規約など、自由に意思決定できないことが多く、物件にオリジナリティを出す、創意工夫をして自ら物件に付加価値を出す、ということが難しいです。
以上のことから、不動産投資をまずは小さく始めて見たいという方や、手間をかけたくない、高い収益性よりも毎月の安定的な賃料収入を重視したいという方には、区分マンション投資が向いていると言えます。
アパート投資のメリット・デメリット
メリット
大きなリターンが狙える・創意工夫の余地が大きい
区分マンションに比べると相対的に投資額が大きくなるため、より大きなリターンを狙えます。また、自ら建築する場合は、土地の選定や、ゼネコンの選定、建物のデザイン、入居者の募集など、様々な観点で創意工夫の余地があります。
融資の担保評価が付きやすい
区分マンションの場合は、土地は敷地権という持ち分割合に応じた所有となるため、完全所有ではありませんが、アパートの場合は、土地も完全所有していることとなります。従いまして、銀行融資の担保評価が出やすいという点が挙げられます。
再販・出口戦略も創意工夫の余地あり
自身の投資した空室のある一棟アパートを、リノベーションして満室にしたのちに売却する、外壁の色を変えて見栄えを良くする、或いはアパート一棟にコンセプトを持たせ、たとえば、女子学生専門のアパートにする、同じ趣味を持つ方が集えるようなアパート(私が知るものですと、音楽好き、クリエーター等の方向けのアパートとする等があります)。投資したアパートに自分なりの工夫を施すことで、新しい価値を生み出すことができます。
減価償却による節税
アパートは一般的に、2階建あれば木造、3階建であれば鉄骨造のものが多いです。国税庁が発表している耐用年数表によると、木造や鉄骨造は鉄筋コンクリートよりも耐用年数が短く設定されています。従って、アパートを購入した際には、毎年の減価償却が大きくなり、それゆえ、課税所得が減り、所得税・住民税の節税ができる、ということになります。
デメリット
空室リスク
収益物件投資で最も避けなければならないのが空室リスクです。アパートはマンションよりも駅距離が離れている、郊外所在となることが多く、いかにテナントを誘致するがか重要となります。
皆さんご存じの通り、日本は少子高齢化社会に突入しています。毎年子どもの出生数は減少し続けているため、国内の日本人が減少していくことは間違いありません。抜本的な少子化対策が採られれば良いですが、一向に対策が進んでいない状況が続いていますので、今後は、外国人労働者の受入により定住人口を増やす等の対策が必要になります。
また、平成27年に行われた相続税の改正を契機に、相続対策で郊外・地方にもアパートを建てる方が多くなったことから、供給が増えたことも懸念点として挙げられます。
物件管理
一棟を購入するということは、それだけ管理の手間が増えるということになります。日々の清掃業務や維持点検に始まり、建物が損傷した場合にはその補修費用なども発生します。また、入居者の中には、賃料の延滞や滞納をする方も出てくると、賃料回収手間もかかります。
出口が限られる、流動性が低い
アパート投資は、区分マンション投資に比べ、総額が大きくなる傾向があります。従いまして、ある程度の予算を確保できる方が投資対象となります。
一棟マンション投資
ここまで、比較的投資をスタートさせやすい区分マンションとアパートを見てきました。その両者のメリット・デメリットを掛け合わせることにはなりますが、一棟マンション投資という選択肢もあります。
一棟マンション投資も立地によりますが、一般的にマンションはアパートよりも駅近であることが多く、区分マンション同様、空室リスクが比較的少なく、また一棟投資のため利回りも5%前後を狙いやすいこと、融資の際の資産評価においても土地が完全所有、立地が評価され、資産価格においても評価されることが多いです。
但し、一棟マンションとなれば、何よりかかるのが費用です。当然、規模や立地にもよりますが、都心の一棟マンションであれば、最低でも2億円程度は容易しなければならないでしょう。また、金額規模も大きくなってしまうため、物件の検討自体をできる方が多くなく、売却に時間を要してしまう可能性もあります。
潤沢に資金がある方にはおススメできる投資対象と言えるでしょう。
以上になります。
いかがでしたでしょうか。お役に立てる記事でしたら幸いです。