ステップ1:売却方法を決める
どのような形で売却をしていくのか、ということです。
中には、自分の保有する資産を家族や友人に優先的に売却したいという方もいらっしゃいます。そのような方は、まず物件を公開せずに、限定的にヒアリングをしてみて、買う人がいるか否かを確認するのが良いと思います。
次に、一般に公開して売却していく場合には、まず信頼できる不動産会社を見つける必要があります。売却を一緒に進めていく不動産会社の決め方としては、以下があります。
1社だけではなく、複数社へ依頼する
これはもし1社だけに絞った場合、その不動産会社の言いなりになってしまう可能性が高いからです。
不動産会社の適切な競争原理を働かせるためにも、複数社に依頼をした方が良いと思います。
ただ一方で、あまりにたくさんの仲介会社に依頼をしてしまうと、各社のやる気をそいでしまうため、個人的には5社程度までが良いのではないかと思います。
もし一社ずつ選ぶのが面倒という方については、一括査定を依頼してしまうのもアリかもしれません。
売却想定価格(査定書)をもらう
これは必ず各社からもらうようにしましょう。
各社からもらうことで、各社の考え方や物件の相場を把握することができますし、各不動産会社のやる気や仕事の丁寧さなどを垣間見ることもできます。
中には、査定書を出したがらない会社もあります。理由としては、エビデンスを残したくないことや、そもそも面倒だと考えていることが考えられます。
そのような不動産会社を使うのは、やめましょう。
いくつかのタイプの不動産会社を使うことも検討する
不動産会社には、いくつかのタイプがあります。
たとえば、大手不動産会社系列の不動産販売会社(例、三井不動産リアルティ、三菱地所リアルエステート、住友不動産販売、東急リバブル、野村アーバンネット等)、銀行系不動産販売会社(三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売、三井住友トラスト不動産、地銀の連携している不動産等)、不動産専業や新興の会社(不動産テックによるマッチングを進めているRENOSY、その他多くの不動産会社)、地場の街の不動産屋さん等です。
大手不動産系や銀行系は、広範な顧客ネットワークがありますし、たとえば、RENOSYであれば最新のAIを使った買い手探索マッチングシステムを利用しますし、地場の街の不動産屋さんであれば、その土地ならではのニーズを抱えていたりします。
従って、売却する物件の特性に合わせて、適切に業者を選定していくことが望ましいです。
通常は、大手系2~3社、特にそのアセットに応じて強みを持っていそうな専業1~2社、地元の不動産会社1~2社といった形で良いと思います。
ただいきなりどこの業者に相談して良いか分からない所もあると思いますので、現在、売却相談や売却価格査定、セミナーを開催している会社としては、ホームズくんのCMでおなじみの「LIFULL HOME’S」の不動産売却査定サービス、野村不動産の仲介会社「野村不動産アーバンネット」や「株式会社東・仲」などがあります。
ステップ2:物件の見た目を良くする
物件の現状により、個別ケースで異なってきますが、買主候補が買いたいと思わせる仕組みづくりが肝心です。
不動産会社がやってくれる場合が多いですが、たとえば、
・綺麗な物件資料を作る
・綺麗な写真をたくさん入れて興味関心を引く
・物件のアピールポイントを端的に記す
・買主候補が内見に来たときに備えて、整理整頓をする
・不動産会社や買主が簡単に物件の概要を理解できるよう、必要な資料(例、レントロールや賃貸借契約書、固定資産税明細書など)を準備しておく
ステップ3:買主候補との契約交渉
売却を依頼した不動産会社が買主候補を連れてきた場合には、今度は交渉をしていく買主を決定する必要があります。
その際に、まずはご自身の譲れないポイントを先に漏れなく伝えていきましょう。
例)売却価格、瑕疵担保責任、物件引渡の時期など
もしこの段階で、買主候補と折り合えないことが明確になれば、その先への売却を止めた方が良いでしょう。時間と労力を浪費するだけになります。
なるべく相手の譲れないポイントも早めに把握しておき、妥協点が探れそうな買主と交渉を進めていきます。
もちろんこちら側の全ての要望を飲んでもらうことは難しいと考え、譲れるもの、譲れないものを選定しながら、両者が納得できる形で交渉を進めると良いです。
売買契約書はその後、もめごとや何か非常事態が発生した際の拠り所となるものですから、できれば専門の方(弁護士や知り合いの不動産会社など)に確認してもらうようにしましょう。
依頼している不動産会社だけでは心もとないケースもあります。
ステップ4:物件を引渡す
買主が遅滞なく物件を取得できるよう、準備を漏れなく進めていきましょう。
特に注意なのが、契約書で約定した約束事をきちんと守り、債務不履行にならないようにすることです。
特に注意すべきは以下のケースです。
ローンの残債がある
この場合、取引先の金融機関と事前の調整を行って、抵当権抹消の手続きをしなければなりません。万が一、契約後に金融機関の承諾が得られず、違約金を支払うといったことのないことのないように気を付けましょう。
テナントが入居中
テナントが入居中のまま、オーナーチェンジというケースも多くあると思います。
その際には、テナントへのオーナー変更の通知や賃料支払先の変更の通知が必要になってきます。買主や管理会社とも事前に相談し、問題なきよう進めましょう。
買主によっては、管理会社を変えるケースもあるため、管理会社との調整も必要です。
相続した物件を売却
名義が両親のままになっているケース等、一度、名義変更が必要となったりします。また、相続分割でもめることなどがあり、買主に迷惑をかけ違約金発生などとならないよう注意しましょう。
以上になります。