不動産コラム

コロナの影響 契約解除や賃料減額の法律的根拠は?

売買契約の解除できる?

ケース1(解除請求):建物の建築工事の遅延(改正前の民法543条ただし書根拠)

→売主の責めに帰す債務不履行か?
→個別ケースであるものの、国土交通省の通知「「新型コロナウイル ス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた工事及び業務の対応について」を踏まえると、受注者の責によらない事由となる可能性が高く、認められない可能性が高い

ケース2(解除請求): テナント撤退・減額(事業計画の実現困難)

→売買契約で、入居テナントとの契約継続が前提条件(表明保証)となっていた場合、これを理由に解除する可能性有
→契約上の定めがない場合、解除にはある程度のハードルがある(初の契約内容に当事者を拘束することが信義則 上著しく不当であると認められることが必要がない)

ケース3(解除請求): ローン特約

→ローン特約があり、事業計画の変更等を理由として、金融機関からの借入が出来なかった場合には、解除が増加する可能性有
→このケースは増加する可能性があり

賃貸借契約の減額・解除できる?

ケース1(減額請求): 建物使用の制限又は一部不能

(改正前民法611条1項注18 を根拠)
→賃貸人(オーナー)の責めに帰すべきものでない場合、ハードルがある。

ケース2(減額請求): 借賃減額請求権

(借地借家法32条1項本文を根拠)
→個別のテナントとの賃料が近隣と比較して高額に 過ぎるとはいえず、経済事情も急降下と言えるかどうか…
→なお、定借契約で、この条文の排除が可能。
もし定借契約内に当該規定があれば、原則、問題にならない。

ケース3(契約解除): 目的の達成不能

(改正前民法611条2項類推又は不可抗力条項根拠)
→元々、物理的な残存する部分で目的を達成することができない条文のため、目的の達成不能が認められるためのハードルが高い…
→事情変更の法理
非常事態宣言や非常事態措置等は時限的
事業を停止する法的義務を課すもので はなく、認められるためにはハードルがある

ケース4(入居見送り): 入居の見送りによる損害賠償

→市況の冷え込みやテレワークの増加に基づく入居見送りが、信義則違反と までいうのは難しい。

ケース5(引渡し遅延): オーナーによる建物の引渡遅延

→通常、建設業者による工期遅れその他賃貸人の責めに帰すべき事由によらない引渡遅延とされる特約を設けることが多い。

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